くにさきに住む様々な特技や知恵を持った人や、後世に語り残していくべき文化お祭りなど、〝みつける・つなげる・のこす〟が詰まった『くにさきの引きだし』。第5回目にご紹介させていただくのは、国見町の「糸永清貴 / いとなが きよたか 」さん、70歳。

糸永さんは、国東市で生まれ育ちUターン。結婚を機に、西方寺へ住居を構えました。今では多くのミツマタが咲き誇る地域ではありますが、元々は現在のような状態ではなかったと言います。糸永「昔からミツマタはあったそうですが、16年前か、もっと以前に林道や砂防ダムの開設によって元々あったミツマタに光が当たるようになり、実生のタネが芽吹き出したようです。」

当初から地域でミツマタを活かそうという話も出ており、パンフレットを作ったりウォーキングを企画したりすることはあっても、旗振り役として手を挙げる人はいなかったそうです。そこで、当時関わっていた糸永さんが率先して手を挙げたことでミツマタ保存会が立ち上がりました。約12年前のことです。趣味である都山流尺八や旅先でのウォーキングをセーブしつつ、環境整備に注力されています。現在では、保存会の皆さんと共に少しづつ植える範囲を広げ、1シーズンに3000〜4000人の来場者を迎えるほどの名所となっています。

糸永さんだけでなく、ミツマタ保存会のメンバーも率先してインスタグラムを立ち上げて地域の魅力を発信しています。自分たちの発信も去ることながら、来場者の皆さんや口コミでの広がりが凄いようです。
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西方寺ミツマタ保存会

全国からの来場者の方に嬉しい言葉をかけられると言います。糸永「スケールも違うし、すごく綺麗!とか、感動してこんな凄いとこはない!という言葉を頂きます。こういった場所は山に入り込んだり、登山するような所にあったりしますが、西方寺の場合は車の側から観れるし、体の不自由な方も観に来やすいのがいい所だと思います。それに、1シーズンに3回も4回も来たり、これまで何度も来ていた人が自分で運転できなくなっても、娘さんの車で観に来てくださる方もいたりします。それに、お接待も効いているんだと思います。」風景だけでなく、地域の人との関わりが年々深まっているようです。


これまでは、地域の方々が中心となって活動してきましたが、課題もあるようです。人手不足も段々と出てきており、これからはSNSで募集することもしながら、いろんな人たちと関わっていきたいと願われていました。(*ミツマタを観に来られる方たちのために、1年を通して環境整備を続けられています。)

来場者の中には、紙漉きをしたい方も多くいるようで、将来的にはミツマタの紙漉きができる場所を地域に作りたいという思いがあるようです。現在、地域の小学校などで紙漉き体験をしたり、ミツマタの皮を剥ぐ体験をしたりと、活動の幅が広がりつつあります。



糸永「ミツマタだけでなく、国見は芸術の町でもあり作品を観たり、体験したり、泊まったりしながら、より西方寺や国東のことを楽しんでほしい。」と糸永さんは言います。年々来場者が増しているミツマタ群生地。ミツマタの花だけでなく、地域の人もより花開き、拡がっていくことを願っています。僕も微力ながら、応援していきたい。ちょっとでも応援したいと思った方は、ぜひ一緒に国東の新しい風景を作っていきましょう。
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