ご近所付き合い・自治会
<ご近所皆で山のテラスで>
移住で心配事の一つはご近所付き合い、自治会、という方もいらっしゃるのではないでしょうか。
私も心配していました。
聞こえてくる情報としては「自治会の仕事に撲殺される」とか「受け入れてもらうまでが大変」とか、とかくマイナスな情報ばかりです。
が!実際はそんなこと全くありませんでした。
むしろ楽しい。
でもこれは地域によって全然違うと思います。
あくまでも国東市、私の住んでいる地域では、です。
国東市への移住が決まってから、「今人間関係もすごくよくて楽しく暮らしてるのに、そんな人たちと離れて、私は何をしようとしているのか。」と急にマリッジブルーのように落ち込んでしまいました。
移住しても寂しくて引きこもりになっちゃうかも・・・。
<ご近所の方が教えてくださって川でウナギ釣り>
実際移住すると・・・そんなこたぁ、まったくありませんでした(笑)
ご近所はほどいい距離感で気にかけてくださるし、早速バーベキューなどにも誘ってくださるし、娘に色々と遊びを教えてくださったり、あちこちの方がお裾分けをしてくださったり、海でたまたま会ったおばあちゃんが作っているミカンなど色々くださって、「もうミカンは買わんでいいから。うちに取りにいらっしゃい」と言ってくださったり(実際それ以降そうしていました)・・・あげるとキリがないのですが、全然寂しくない。
東京の友人たちに申し訳ないくらいでした(笑)
そして自治会にも入りました。
空き家バンクで入ると自治会に入ることが条件になっていたのですが、条件でなくても断然入ることをお勧めします。
なぜなら、まずすぐに地域の方々に覚えていただける。
これは嫌な方は嫌かもしれませんが、田舎では道ですれ違う人(めったにすれ違いませんが)全員顔見知りなので、もれなく挨拶します。
なので知っていただいていればその都度詳しい自己紹介も必要ないし、不審がられることもないし、こちらも大手を振って挨拶できます。
それに、この人のネットワークは情報のネットワークでもあり、誰かに聞けばなんでも大抵すぐわかります。
事によっては手をまわしてくれたり連絡してくれたりすることもあり、移住のスタートダッシュが俄然早くなります。
ということで、私は「わからなくて困る」なんてことは一つもなく、即便利な田舎暮らしが始まりました。
<隣保班で草刈り>
自治会は私の住んでいる地域では谷毎に行政区になっており、谷が大きい場合はその中にいくつかの自治会があります。
そしてそれぞれの自治会の中は10軒前後の隣保班いくつかに分かれています。
毎月隣保班内で回覧版が回され、市や地区のお知らせ=地元情報はここから得ます。
数年に一度班長も回ってきますが、これは地域のことを知る早道です。
そんなに大変なことでもありません。
私も移住して3年目に班長をやりましたが、隣保班にお知らせなどがあって回ると、帰りにはいただきものをあちこちでいただいて両手いっぱいになって帰る♪みたいな感じです。
自治会の仕事としては他に年に数回の草刈りとか、神社の掃除、数年に一度のお祭りの当番とか、いくつかありますが、ここに限っていえば撲殺される、というようなことはなく、忙しければ休んでもいいし、むしろそういう機会に皆さんと会っておしゃべりするのが楽しいです。
昔はもっと色々と行事があったそうですが、人口の減少であれもこれもなくなり、昔話を聞くと「今でもあればよかったのにー」と思うものがたくさんです。
<地域の演芸祭>
実際、地域を維持しているのは自治会です。
自治会が崩壊したら・・・地域は草木に覆われ、人が住めない地域になっていくでしょう。
自治会の一員として地域を維持する一役を担わせてもらっている、というのは幸せなことです。
東京にいる頃はPTAも逃げまくり(ここでは生徒数が少ないので全員参加)、自治会なんて入らず、避けて嫌っていました。
東北の震災の後、テレビで取材に答える東北の方が「自治会ごと高台に越したい」とおっしゃっていたのを見て、意味がわかりませんでした。
「それぞれ好きなところに引っ越せばいいじゃない。」
が、ここに住んでわかりました。
私もやっぱり何かあったら自治会ごと移動したい。
なぜなんでしょう?
明確な言葉にできないのですが、知った人ばかりに囲まれている安心感、子供のことも全員が知ってくれている、何かあったら誰かを頼ることもできる、人のつながりが網の目のように地域をつなげていて、そんな中にいる安心感でしょうか。
もちろん、全員とウマが合う、ってわけにはいきません。
それでも、それも含めて全員が遠い親戚としてつながっているような、なんとも表しがたい感覚です。
<年末、神社のしめ縄作り>
移住者、地元の方両方とも、それぞれの理由で自治会に入っていない人もいます。
でもそういった方々が村八分になるとか、住みづらくなるとか、そういうことはありません。
国東の人々が穏やかな市民性であることが大きな所以かもしれません。
排他的なところも全くなく、子供なんて大歓迎。
移住してご近所の方に「子供の声がしていいわ~」と言われて驚きました。
嫌味じゃなく、本当に喜んでくださるのです。
「子は宝」という言葉もここで「こういうことか」と理解できました。
けれど、国東市内でも様々なようで、「お町」(都会を指す言葉だけれど、国東市に都会はないので、スーパーがあるような各地域の中心地をそう呼びます)と呼ばれるような所は自治会とか人のつながりは希薄になってきているようです。
私の住んでいる地域のように、自治会がちゃんと機能し、人のつながりが残っているのはここの貴重な財産だと私は痛感しています。