くにさきの『引き出し』③ 國廣吉郎さん

“くにさきに住む様々な特技や知恵を持った人や、後世に語り残していくべき文化お祭りなど〝みつける・つなげる・のこす〟が詰まった『くにさきの引きだし』”

第3回目にご紹介させていただくのは、『いのこもち』の〝いつの日か再生復活を願って〟と遺された記録を基にに後世に伝えるため、いのこもちの再現をした国東市浜の『國廣吉郎』さん。


昭和28年国東市浜生まれの71歳。

近年お宮参りに行くようになり、いつものようにお参りに行っていたある日、ふと階段の角に半分土に埋まってボロボロになった綱が見えた。


気になって引っ張り出してみたら『いのこもち』の縄だった。

 いのこもちとは、明治時代から続く無病息災を願い旧暦の亥の月(現在の11月)の最初の亥の日に開催していた行事。いのこもちをしなくなり20年〜30年は経つなぁと懐かしくなり持ち帰った。

偶然見つけたこの縄をきっかけに〝まだ記憶や経験者のいる今なら復活は難しくても記憶は辿れるし再現は出来るのでは?〟と今年の初め頃から国東や豊後高田の図書館や杵築など資料を求めて調べ回った。いのこもちの歌の歌詞を紐解いていったりもした。

地域の人にも声をかけて5〜6人の集落を超えた協力者が集まった。綱の結び方なども結び方を知ってる人が見つかったり、他集落の区長さんが國廣さんの想いを知り、石の横に筒があった事を思い出し(誰も気に留めていなかったから未開封だった)開けてみたら偶然にも書が見つかり〝國廣さんが探しているものでは〟と届けてくれた。

〝井上一美〟さんの紙で残したいのこもちの書
平成24年3月吉日『いつの日か再生復活を願って』。
 
数十年も前に國廣さんと同じ想いの人が居た!
 
その想いが通じたのか綱を見つけた事から記憶が蘇り今に伝えたいと井上さんの想いを継いで再現を企画した。
 
が、再現には課題があった。
地域に〝子どもがいない〟石を叩きつける〝場所がない〟
 
國廣さんは見守りの為、学校からの依頼で小学生の朝の見送りをしていた事から、その時の保護者が協力者になり来浦だけでなく富来の子供達も集まり再現の日を迎えました。


場所は恵美須神社。

当日は雨で開催は難しいかな?と思われたけれど不思議と再現の時間帯だけ雨が止み、沢山の参加者と一日限定のいのこもちが開催されました。

大人達が記憶を辿りながらあーでもないこーでもないと手探りで記憶を辿り、本当のいのこもちかのような景色で、集まった子ども達の目に焼きつき体現として記憶に残ったと思う。
昔ここ国東市浜で生まれたあの時子どもだった大人が覚えている間に今の子どもに伝えたい。國廣さんの想いは井上さんの紙で残したいのこもちとともに映像として記録を残しました。


『いのこもち』YouTubeはコチラ
https://youtu.be/sZ0x4TNIjeg

高齢化や少子化が進み、町の行事やお祭りがなくなっていく今。子どもが居ないから出来ない、歳をとったからしないではなく、出来る事を出来るカタチで行動すれば道は切り開く事が出来ると思いました。


地域支援サポーター 安岐圏域担当 岩切千佳