くにさきに住む様々な特技や知恵を持った人や、後世に残していくべき文化お祭りなど
“みつける・つなげる・のこす”が詰まった
『くにさきの引き出し』
第8回にご紹介させていただくのは、武蔵町麻田の「平野正義/ひらのまさよし」さん81歳

小学校の教員を退職後、国東公民館講座「くにさき塾」で竹工芸を始めて18年。近年はお世話役もされてきたそうです。
平野さんの作品に出会ったのは、武蔵西地区公民館で毎週開かれている、ふれあいカフェの中のイベント「ギャラリーカフェ」
平野さんの作品がずらりと並べられていました。
細く繊細な編み目の作品に、とても感動しました。
プロのような仕上がりで、見たことないような複雑な模様。
今回、お宅に伺い見せていただくと、玄関から様々な作品がたくさん並べられていました。
作業部屋を見せていただくと

まさに、職人の工房に足を踏み入れたよう。
綺麗に緻密に編まれた作品たち。



とても細く薄い竹ひごをつくり、繊細で緻密な模様を作り出す。

その竹ひご、一本一本も、ご自身で作られている。







以前は、国東市にも、伐り出した竹を油抜きする製竹所があり、平野さんも自ら山に行き竹を伐り持って行っていたそうですが、
今は、豊後高田まで行かないとないため、
豊後高田まで行き、油抜きをした竹を購入しているとか。
竹工芸・竹細工と聞いて、竹を編むんでしょ?と思っていましたが、
なんと、竹を伐るところから始まるとは。
山に行き、竹を切ってきて、アク抜きをして、
割って、竹ひごを作る。
しかも、作る作品に合わせて、竹ひごの幅や厚みまで、0.05ミリの世界で調整して準備する。
そうして、初めて編み始めるという。
なんて、世界だ!!とびっくり仰天です。
今回は、道具もわざわざ出して、見せていただきました。
竹割包丁(竹を割る、これで大体の竹ひご状に作る)
銑(1〜0.05ミリの薄さを調整する)

幅取り(1〜0.5ミリの幅を調整する)

私には、わからない、定規にも目盛りのない世界でした。
しかし、0.5ミリ以下の違いを見事に見せていただいて、とてつもなく薄い!!という事だけ実感させていただきました。
指先の感覚で、まさに職人技です。


その竹ひごも100本つくったとして、使えるのは80本
8割だという。
しかも、竹工芸の皆さんやってらっしゃる事だと聞いて、もうびっくりです。
くにさき塾で去年の3月までお世話役さんをしていたと、
どんなことをされていたかというと、
作る作品の編み図や必要な材料など書かれた教材から、わかり易くコピーして、人数分用意し
豊後高田でアク抜きをした竹を購入し、竹工芸の皆さんに1本2本と配る。
仲間と日にちを合わせて行くそうです。


教室の日までに、作る作品に合わせて、自分で竹から幅や厚みを調整した竹ひごを作って持って行く。
上手に竹ひごが作れるようになるのに、3年はかかるそう。
竹工芸には、いくつもの「技術」があり、やはり、それを継承して、伝えていきたい。
それが、くにさき塾から、武蔵町のむさし塾へと広がっていってくれているので、嬉しい。と。

「竹や木は、あたたかみがあるでしょう」
「作品が残るから良い」
「大好きな竹細工を“自分が作った”というのが良いんですねぇ。」
「大きな達成感がね」
と、嬉しそうに笑顔でお話ししてくださいました。
余談ですが、
作品達を並べて、写真を撮った、大木の丸太の台。

なんと、これも平野さんの手づくり。
コロコロ車輪もついていて、自在に動かせる。
「山に倒れていたから、もったいないから持って帰って。山にあっても腐ってしまうだけでしょう。」
と朗らかに笑う。
また、竹細工の中で、なぜか下駄が

「桐の木が倒れたんです。もったいないから、見様見真似で下駄を作った。思ったより上手くできた。」と満足そうに。
鼻緒は、杵築の萬力屋(下駄や草履など専門店)に持っていき、付け方結び方を習ったと。
お店の方も、「良くできている」とお墨付き。
女性用男性用と2足あるが、
奥さまも「良くできているでしょう。もったいなくて履けないわ」と笑う。
そして、作業部屋の机も椅子も、「私が作りました」と。


えー!!と、何度も驚きがいっぱいの楽しい取材の時間でした。
また、今後は麻田のお寺「報恩寺」の仏像修復に向けて、住職がクラウドファンディングを予定しているそう。
その返礼品に、平野さんの竹工芸が選ばれているとか。
檀家である、平野さんは、喜んで快諾したそうです。

今は、世界中から注目されている、竹工芸。
クラウドファンディングで、仏様も参加された方々にも、喜ばれることでしょう。
修復されて、美しく蘇った仏様を見に、また多くの人が武蔵町を訪れてくれたら、嬉しいと思っています。
取材/撮影 地域支援サポーター武蔵圏域担当 古川杏菜